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世界には1200kmを越えるBRMもある。
カナダ、バンクーバー・アイランドの2000kmブルベに参加した森脇さんのレポートです。

▲2000kmともなればPC33箇所
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▲CP3にて


▲PortRenfrew への道


▲2日目


▲MillBay


▲PortAlberni


▲日本より持参


▲Tofino への道


▲Tofino へ


▲Tofino への道


▲ThimbleBerry


▲Tofino への道


▲GoldRiver への道


▲GoldRiver へ


▲GoldRiver への道


▲StrathconaPark


▲PortMcNeilll へ


▲PortMcNeilll からの帰路


▲ゴール後Ken と


▲ゴール後Keithと

他の写真はこちら

1. 開催前2ヶ月間に渡ったオーガナイザーとのメール交換

カナダは西部に当たるBritish Columbia 州にあるVancouver Island にてこの夏開催されたUltimate Island Explorer 2000 に参加してきました。

2,008km を6日と22時間34分の制限時間以内で走りきるこのブルベは、カナダでは有名なサイクリストKen Bonner 氏の個人オーガナイズ(RM認定)の下に、Vancouver Island のイベントの中では初めての距離としての開催でした。

 参加したのは、完走こそ出来なかったものの昨年初めて参加させて頂いたPBP の熱気に当てられ今年もどこか海外で走りたいといった気持ちによるもので、B.C. Randonneur のサイトの情報に目が行った事が発端でしょうか。

オーガナイザーのKen とのやりとりは開催の2ヶ月程前からメールで行っていたのですが、Rocky Mtn. 1200 等々他のイベントに参加される忙しい中、現地のこまごまとした莫大な詳細情報を提供して頂く事ができ、フランスに参加した時よりも不安感のない状態で出国することができたように思います。

 6月当初はこのイベントに対して約10人程の北米サイクリストの関心がある状況だと聞いていたのですが、蓋を開けてみると時間を取ることへの難しさなのでしょうか、Vancouver 在住のKeith Nichol 氏と私だけといういささか淋しいもので。

現在私は自由業的な比較的時間の取りやすい形で仕事をしているため長期滞在が可能だったのですが、会社員であるKeith の場合は1週間の長期休暇を取得しての参加と2,000km は一大イベントとなるわけです。

 2. 国が違えばキューシート、PCチェックも違う。

スタートは8月12日の3:00am。

少し勘違いもあり前日の宿をスタート地点から約20km 離れた所に取っていたため、1時半頃に宿を出発し自走で向ったのですが、道中で2度のパンクにあい、いきなり不安でいっぱいな気分で満たされることになりました。

ただ、2度目のパンクの際に少しスタート地点到着が遅れるかもしれない旨をKen へ連絡したところ、最悪は迎えに行っても良いと親切な言葉を頂き、またなんとか10分前に到着したスタート地点では、無くしてしまった予備チューブ2本を頂くなど個人オーガナイズならではの優しさにふれ、今回ほとんどの行程を同走したKeith と共に3:20am 、無事出発することができました。

この時期のカナダは緯度が高いため、明け方は5時頃から夜の9時頃までは明るいのですが、さすがにスタートのこの時間は真っ暗闇です。Keith と共に暗闇のハイウェイを延々喋りながら、まずは最初のコントロールポイントへ。今回は2人だけの参加だったのですが、この道中のくだらない会話がどれだけ134時間強の長丁場をなごましてくれたか計り知れません。

手渡されたキューシートの枚数は15枚、インストラクションの数は実に457個というのはやはり途方もないものでして・・・。キューシートの話がでたので、少し触れますが、日本のものとの違いは曲がる地点での目印が交差点の名前ではなく、次のストリート名で表されるというのがあります。

こちらの道路には大小関係なく様々なストリート名がついているのですが、交差点にさしかかる箇所ではその角にはその表記がされているためです。当然日本と同じく距離情報(カナダはアメリカと違いkm 表示なのでとても助かりました)も付随しているのですが、慣れてしまうとほぼ確実にストリート名は交差点にはあるので、意外に分かりよかったりしました。

あと大きな違いというものがあるとすると、コントロールポイントの通過チェックの方法でしょうか。日本での無人CP はコンビニのレシートチェックというのはご存知のとおりなのですが、こちらでは当日渡されたブルベカードに記載されている質問に答え、自分のサインと共に時刻を記載するという方法がとられます。

また24時間営業されているお店が指定される場合はその店で物を買い、店員に時間とサインをしてもらう方法が導入されています。さすがに、初めての経験だったのと、ネイティブではないため、問題を理解できなかった際のセーフティとして最悪はCP の写真を撮る事でチェックすることを許してもらったのですが、店員にはランドナーイベントを知っている人も何人かおり、コーヒーをおごってもらう等、コミュニケーションが取れるこの方法は意外に楽しいものでもありました(実際に走っていた期間、B.C. Randonneur のサイトへKeith の奥さんからの情報を元に毎日私たちの情報がアップロードされていた為、それを見ていた店員もいたようです)。

 初日の行程は、まず島の南西部にある港町Port Renfrew とスタート地点Victoria の往復だったのですが、道中は18% の上りが約500m 続く箇所があったりとアップダウンの激しいコース。

基本、海岸線を走るので、所々遠くアメリカを望みながら海が見えるのですが、小雨が降るような灰色な天候のその景色はくっきりとした島の緑とは対照的で何か神秘的な感じがしたのを覚えています。

当初、Ken の4日でこのコースは走りきれるという言動に、まだまだウルトラマラソン(1,000km 以上をこちらではこのように表現しているそうです)初心者の私は1日400km ペースを計画していたのですが、夜Victoria に着いた際には前日興奮して眠れなかった事もありぐったり。

CP であるデニーズで仮眠を取ろうとしていた所、後から追いついてきたKeith が計画した1日約350km ペースの6日で走りきるもののほうが、ドロップバッグポイントを旨く基点として考えられており現実的だったため便乗させてもらうことにしました。島の夜道は意外に危険な箇所があるということで、やはり普段走りなれている人の意見は非常に参考になります。

 3. ハイウェイも走る自転車

2日目は朝3:30 にVictoria を出発しLake Cowichan を経由してドロップバッグポイントであるParksville へ。

Mill Bay までの行程はTrance Canada HW をメインに延々上ったり下ったり。

カナダはフランスと違い、自転車の通行禁止のマークのないハイウェイは基本走行可能となっており、右側の路側帯を走る事ができます。

日本との交通ルールの違いは、赤信号でも左から車が来ていなければ一旦停止&確認後右折が可能(日本でいう左折可の信号と同意)。

逆に左折する場合は、どんなに車線が多くても後方確認をし、左方向へ手信号を出して左折レーンへ侵入し、車と同じ感覚で自転車も左折します。

2段階右折で慣れ親しんでいる日本人には初めかなり緊張する大きな道路等の左折ですが、きちっと手信号を出し左折レーンへ侵入していくと、少々もたついても後方から来る自動車はクラクションなどは一切鳴らさずゆっくりと徐行して見守ってくれます。

ここらへんは、同じ車社会の国ですが、自転車の車両としての位置付けがかなりはっきりとされているのが感じ取れるシーンでした(逆に自転車に乗る際にはどんなに短い距離でもヘルメットは確実に被らなければいけないですし、歩道を走ることは禁じられています)。

 4. 125km補給ポイントなしの大自然

3日目はParksville を拠点に島の反対側、西海岸のTofino へ。

このルートも18% の坂が含まれるアップダウンのある行程で、道中は補給ポイントが約125km に渡り存在しないと言われる山の道。

島を縦断するので森林地帯なのかと想像していたのですが、脇には川が流れる箇所があったり湖があったりと車を止めて観光されている方を数人見ることができました。

Keith のペースは自分のものとさほど変らないものだったので、道中はいろいろと観光案内をしてもらい、山岳部にしかならないThimble Berry やSalmon Berry を楽しんだり、黒熊をまじかで見たのも初めての経験となりました。

 5. グリズリーの棲む内陸をクリア、ビールで乾杯

4日目はCampbell River を拠点に島の内陸部、ワイルドエリアになるGold River へ。

この区間は道路は綺麗に舗装されているのですが、基本的に民家などはほとんどなく完全に自然が支配するエリア。

Keith によると、ここではグリズリーも出るとのことで、数年前にトレッキングで出かけた彼の友人が行方不明にもなった場所だそうです。

この日は気温が39℃まであがるなど夏を思い出させるような気候だったのですが、日本のそれとは違い湿度がほとんどないのがせめてもの救い。

明日は約400km の長丁場になるため、少し体力温存気味でホテルへ戻ると二人してビールで乾杯、ゆっくり休む中日のようなライディングでした。

6.  大自然の中を走るハイウエイ北上

5日目は今回最北端に当たるPort McNeill への往復コース。

延々とハイウェイ19 を北上するのですが、内陸部のあたるWoss などは小さいお店が一軒あるだけといった完全にオアシスのような町で、昨日と同じように延々と自然の中を走ります。

道中はあいかわらずアップダウンはあるのですが、途中低い雲がかかっていたりと景色の綺麗さには閉口。

帰路は暗闇の中を走って帰ったのですが、月に照らし出された森の道はなんとも幻想的なものでした。

 7. 単独ゴールを目指す

最終日はCampbell River からゴール地点はVictoria へ。

Keith のフェリーの時間の問題もあり、約2時間ばかりの睡眠で4時頃に出発。

朝食をCourtenary にて食べた後、少しペースが違ったためKeith より先に行かせてもらうことにしました。

自分のペースというのは、楽でもあるのですが、タイムを考えたりすると少し無理をするので意外にしんどくも・・・。

特に、食費として300ドル程用意していたキャッシュがいい感じで底をつきかけており、最後はハンガーノックにならないよう自転車に積んであるほとんどの補給食を平らげていくような走りだったので、そこそこキツイものとなりました。

疲れているときのTrance Canada HW の細い路側帯の下りは結構危険で、「現地主催者であれば要注意箇所なんだろ〜」などと考えながらの帰路。

Victoria に入ってからのインストラクションが実はかなり分かりにくく、何回か行ったり戻ったりの繰り返しをさせられたのですが、無事に明るいうちに到着。

Tim Hortons では新人のアルバイトなんでしょうか?対応が悪く、ありえないくらい行列ができておりここでもタイムロスはあったのですが、トータルの日数の莫大さに比べると微々たるものでして。

17:40のサインを苦心の説明の末にもらい、Ken に電話をかけ、記念写真を撮り無事終了とあいなりました。

Keith も最後はかなり迷ったらしいのですが、フェリーの最終には問題なく間に合い、2人のためだけの?ブルベはここで無事終了。

自然と文化を思う存分味わう事のできた5日半となりました。

 最後に、こんなにもすばらしいイベントを企画してくださったKen Bonner 氏と道中において様々なアドバイスを頂いたKeith Nichol 氏に感謝を表してレポートを終えたいと思います。

近畿でも個人オーガナイズ方式を導入しようかとの話もでており、海外からの参加者への対応等、スタッフとしても一つ大きな経験ができたように思います。

  • Total distance: 2008.5km
  • Total time: 134h20m
  • Total climbing: 19155m (Keith のサイコンより)

オダックス近畿/森脇 裕 (2008.8.28)


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